9月2日(月)~8日(日)にスペイン・ポンテベドラで行われるU20世界選手権に出場する男子グレコローマン・チームが8月29日、羽田空港から出発した。
2015年以来、コロナで不出場だった2021年を除いてメダルを取ってきた大会だが、優勝はない。今大会は、82kg級の吉田泰造(香川・高松北高)が昨年のU17世界選手権優勝に続くタイトル獲得を目指すなど、頼もしい戦力がそろっている。
藤村義監督(自衛隊)は「2日間の事前合宿で各選手の力量を大まかに見た。軽量級にはいい技を持っている選手がいる。各選手が力を最大に発揮できるようにサポートしていきたい」と言う。今月中旬のU17世界選手権(ヨルダン)の男子グレコローマンはメダルなしに終わり、グレコローマンにおける世界との実力差を見せつけられた形だが、キャリアを積んでいるこの世代では、「そうはいかない」という気持ちは十分。
3スタイルを統括する馬渕賢司チームリーダー(岐阜・恵峰学園職)は「(今年の)各世代のアジア選手権やU17世界選手権の結果からすると、世界で勝つのは厳しいことが予想されるが、この世代の選手が間違いなく、今後の日本を背負っていくので踏ん張りが必要。それが全体のレベルアップにつながっていく」と期待。好成績を挙げたパリ・オリンピックを意識することなく、「まず自分のパフォーマンスを出し切って、この世代の世界一を目指してほしい」と話した。
グレコローマンでは、一人でも多く優勝や入賞選手が出てくれることが目標。インドなど他国の台頭が目覚ましい女子は、「ぜひ巻き返してほしい」と奮起を促した。男子フリースタイルは、昨年、チャンピオンが生まれ(57kg級・西内悠人=日体大)、国別対抗得点で4位に躍進した。「(日本選手は)十分に世界で通じるものを持っている。軽量級だけではなく、中量級、重量級にも期待したい」と話した。
インカレを制し、いい気持ちで臨む掛川零恩主将(早大)
主将に指名された87kg級の掛川零恩(早大)は「この大会は3回目になります(2022年=5位、2023年=7位)。今年は結果を出したい。キャプテンに指名されたし、最年長としてチームを引っ張れるよう頑張りたい」と決意を話した。
5日前に終わった全日本学生選手権(インカレ)で優勝しての参加。「日本代表としてインカレで負けるわけにはいかなかった。しっかり優勝して、いい気持ちで臨めます」と言う。その疲れがないと言えば、うそになるだろうが、気持ちの高揚の前に感じることはない。「すぐに気持ちをこの大会に切り替えたので、大丈夫です」と話し、3度目のU20世界選手権へ挑む。
2世代目の世界制覇を目指す82kg級の吉田泰造(前述)は、今月中旬の全国高校生グレコローマン選手権は負傷で欠場したが、この大会にかけるため無理をしなかったのが真相。それだけ、世界一へ強い思いを持って挑む大会。U20世代の中では下の年齢になるわけだが、「同じ階級の選手と闘うのです。年齢は関係ないし、気にしていません」と言う。
同郷の先輩、日下尚(三恵海運)がオリンピックのあと、高校へ来てくれたという。「金メダルをさわらせてもらいまして、カッコよかったです」と話し、ますます世界一への思いが強くなった様子。すでにシニアでアジアを制しており(今年4月)、10月には非オリンピック階級の世界選手権(アルバニア)への出場も内定している。「この大会で優勝し、勢いをつけてシニアの世界一を目指したい」と気合をこめた。