共同通信などが報じたところによると、順天堂大学は女性アスリートのコンディション関する研究拠点として「女性スポーツ研究センター」を設立し、10月ころからすべての女性選手を対象に、東京都文京区と千葉県浦安市の付属病院で専門の外来診療を始めることを発表した。日本では初の取り組みという。
女性アスリートの場合、激しい練習や体重制限で生理が止まったり、生理の時に強い痛みが出たりするなど特有の問題が生じることが少なくない。しかし、専門的な医療機関がほとんど存在せず、ドーピング違反の恐れから薬の服用をためらう現状もある。
同研究センターは、整形外科や産婦人科の医師が無月経や生理不順など女性特有の問題や疲労骨折などの病状をさまざまな角度から総合的な診療を行い、女性アスリートの競技力向上を目指す。妊娠や出産に関するアドバイスも行い、既婚選手のサポートも行うという。
今年4月に放映されたNHKクローズアップ現代では、「無月経、疲労骨折…10代女子選手の危機」とのタイトルで女性アスリートが直面する問題を紹介。月経が止まると、骨の形成に欠かせない女性ホルモンの分泌が減り、疲労骨折を起こしやすくなる。その結果、選手生命を断たれてしまうケースも少なくないことをレポートしている。
また、10代は生涯の骨の強さが決まる重要な時期。無月経に適切に対処しないと、将来、妊娠しにくくなったり、骨粗鬆症になったりする危険もあるとの専門家の指摘も紹介している。