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第6回アジア・ビーチ大会(中国・三亜)は来年4月2日(金)~10日(日)に実施

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 アジア・オリンピック委員会(OCA)は8月10日、今年11月に中国・三亜で予定されていたが、延期となった第6回アジア・ビーチ大会の新日程を、来年4月2日~10日にすることをホームページで発表した。東京オリンピックと同じで、「三亜アジア・ビーチ大会2020」の名称やロゴは変更しない。

UWWが2024年パリ・オリンピックでの採用を目指しているビーチ・レスリング=2014年アジア・ビーチ大会(タイ・プーケット)

 今回のアジア・ビーチ大会は、新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)のため7月15日に延期が決定。OCA、中国オリンピック委員会、大会組織委員会で新しい日程を検討していた(関連記事)。

 アジア・ビーチ大会は、年々盛んになるビーチスポーツのさらなる発展のため、アジア大会から分離されて2008年にスタート。今回は、東京オリンピックでも実施されるサーフィンなど19競技が行われる予定。

 世界レスリング連盟(UWW)では、オリンピックにおける参加選手の男女同数を実現するため、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、2024年パリ・オリンピックで女子を公開競技、または新たなカテゴリーとして採用が検討されているビーチ競技としての実施を提案している。

 2021年は、11月に中国・汕頭で14~17歳を対象としたアジア・ユース大会も開催が予定されている。レスリングは実施されない。


【2011年思い出の動画(4)】アジア大会王者の長谷川恒平が5連覇でオリンピック予選出場を決める…全日本選手権(男子グレコローマン)

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 2011年全日本選手権の男子グレコローマンは、全階級で翌春のロンドン・オリンピック予選出場をかけた闘いへ。55kg級は前年のアジア大会を制した長谷川恒平(福一漁業)が4試合に勝って5年連続優勝を達成。

 60kg級は前年世界2位の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)、66kg級はアジア大会銅メダルの藤村義(自衛隊)、74kg級はアジア大会銀メダルの鶴巻宰(自衛隊)が勝ち、いずれも国際舞台で通じる実力を発揮して予選出場を決めた。

 84kg級は天野雅之(中大職)が初優勝。30年ぶりに中大出身の全日本王者へ。96kg級は84kg級から上げた斎川哲克(両毛ヤクルト販売)が勝ち、120kg級は新庄寛和(自衛隊)が3年連続5度目の優勝を達成した。(2011年12月21~23日、東京・代々木競技場第2体育館)


《男子グレコローマン・決勝》

【55kg級】
長谷川恒平(赤=福一漁業)○[2-0(1-0,1-0)]●田野倉翔太(日体大)


【60kg級】
松本隆太郎(赤=群馬ヤクルト販売)○[2-0(TF6-2=1:51,2-0)]●倉本一真(自衛隊)


【66kg級】
藤村義(赤=自衛隊)○[2-0(TF8-0=1:26,1-0)]●板倉史也(エス・ピーネットワーク)


【74kg級】
鶴巻宰(青=自衛隊)○[2-0(1-0,TF6-0=1:41)]●福田翼(拓大)


【84kg級】
天野雅之(青=中大職員)○[2-0(3-0,5-0)]●岡太一(自衛隊)


【96kg級】
斎川哲克(赤=両毛ヤクルト販売)○[2-0(4-0,2-0)]●山本雄資(警視庁)


【120kg級】
新庄寛和(赤=自衛隊)○[2-1(0-1,1-0,3-0)]●前川勝利(早大)

《お知らせ》本日午後4時から、アジア連盟インスタグラムでオンライン表彰式

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 既報の通り、アジア・レスリング連盟による2019年のベストレスラー、ベストコーチ(以上3スタイル)、ベスト加盟国の表彰式が、きょう12日(水)午後4時(日本時間)からオンラインで行われ、インスタグラムで中継される。

《アジア連盟・インスタグラム》 ※8月12日午後4時(日本時間)


 
 
 
 
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11 a.m. Almaty time (Kazakhstan) Online Awarding ceremony of UWW Asia contest 2019. Live on @uww.asia #uwwasia #growwrestlingasia #uwwasiacontest @shinobu63no_1 @nurkozha0074 #ningningrong

United World Wrestling Asia(@uww.asia)がシェアした投稿 –

《お知らせ》アジア連盟のオンライン表彰は、午後2時からの誤りでした

審判に挑戦!…UWWオンライン“判定ゲーム”(4)

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 世界レスリング連盟(UWW)は、公式ホームページ上で第4回の「判定クイズ」を掲載した。15の微妙なアクションが動画で流れ、3択、あるいは4択で瞬時にポイントを回答する。

 ファンには、リアルタイムでポイントを判断することでレスリングへの理解を深めることを期待し、 レフェリーにとっては強力な学習ツールとなる。

《クリック》

※メールアドレスを入力。名前(ニックネーム)を記入してスタート。各質問ごとに得点が加わり、上位5人の氏名、自分が何位なのかが分かる仕組み。

イランが正式に3位へ繰り上げ…2019年世界選手権・男子フリースタイル国別対抗得点

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国別対抗得点3位に繰り上がったイラン=2019年世界選手権リザルト

 イラン協会のホームページは8月5日、ドーピング違反によってウズベキスタンとシリアの選手が順位を剥奪された昨年9月の世界選手権(カザフスタン)に関し、国別対抗得点でイランの3位繰り上げが正式に認められ、近く3位のカップを手にすることを報じた。

 今年2月、同選手権の男子フリースタイル125kg級でウズベキスタンとシリア選手、同74kg級でフランス選手がドーピング違反となり、順位を剥奪された。これにより、125kg級で8位だったモヘビ・ヤドラフ・モハマドカズム(イラン)が6位へ繰り上がった。

 同選手が獲得した国別対抗得点は「6点」だったのが「9点」となり、イランの得点は「92点」が「95点」へ。3位だった米国の「94点」を上回ることになり、イランが3位になるべきだ、とアピールしていた。

 このほど、世界レスリング連盟(UWW)からイランの3位を認める連絡があり、公式リザルト(記録)も修正されている。イランは、2013年の世界選手権・国別対抗得点で優勝したあと、2014年と2015年に2位と強さを見せながら、2017年は9位、2018年は6位と順位を落としていた。今回の繰り上げで、3年連続での3位入賞なしは避けることができた。

《2019年世界選手権・男子フリースタイル国別対抗得点》

オンラインで表彰式…太田忍(ALSOK)が男子グレコローマン・ベストレスラー賞、笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)が女子ベスト・コーチ賞

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 アジア・レスリング連盟(AAWC)選出の2019年個人賞の表彰式が8月12日、オンラインで行われ、男子グレコローマンのベストレスラーに選ばれた太田忍(ALSOK)と、女子のベストコーチに選ばれた笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)が、ダウレット・ツルリハノフ会長(カザフスタン)から画面で賞状と賞金(3000ドル=約32万437円)の目録を提示された。(関連記事

▲2019年アジア・男子グレコローマン・ベストレスラーの太田忍(ALSOK)

▲2019年アジア・女子ベスト・コーチの笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)

【特集】3人のオリンピック・メダリストの指導を受け、延期をポジティブにとらえる乙黒圭祐(男子フリースタイル74㎏級=自衛隊)

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(文=布施鋼治)

乙黒圭祐(自衛隊)

 新型コロナウイルスの影響で満足な練習ができなくても、時間は無駄にしない。東京オリンピック男子フリースタイル74㎏級代表に内定している乙黒圭祐(自衛隊)は、この階級で闘うための体作りに没頭している。

 「まだ体重も安定していなかった。まずは体重を増やして体を作ることに集中しました。オリンピックは1年延期になったけど、自分の課題に取り組める時間が増えたとポジティブに捉えています」

 それはそうだろう。70㎏級から74㎏級への階級アップは昨年の全日本選抜選手権からで、まだ1年ちょっとしか経っていない。同選手権は初戦で敗退しているが、その結果すら乙黒は東京オリンピックのための肥やしにしようとしている。

 「自分の中では(その6ヶ月後の)天皇杯が一番大切な勝負だと思っていたので、天皇杯に照準を絞ってやっていました。だから選抜で負けても落ち込むこともなかったですね」

 一朝一夕に1階級上の筋肉やパワーがつくわけではない。4㎏の差を埋めるためには時間が必要だったということか。「僕の場合、61㎏級から1階級ずつ上げていったけど、今まではそんなに階級の差を感じたことはなかった。でも、70㎏級と74㎏級はパワーや圧力がちょっと違うと感じています。世界だと、レベルはもっと上だと思うので上の階級の選手と練習したりしています」

得意な部分を伸ばしつつ、全体的な底上げが目標

 乙黒は2018年に70㎏級で世界選手権に初めて出場しているので(26位)、世界の感触はある程度つかんでいる。今はバランスよく鍛えることを心がけているという。

70kg級で世界選手権(ハンガリー)に出場した2018年は初戦敗退に終わる

 「自分の武器といえば、組み手やカウンターだと思うけど、ひとつだけ鍛えていたら、ほかのところで一気にもっていかれるリスクがある。74㎏の世界では、得意な部分を伸ばしつつ、全体的な底上げをしていきたい」

 乙黒の組手の特長は基本の左組みだけではなく、右組みでも闘えるということだ。「左右ともできる組み手で、相手に的を絞らせない」

 飛躍のきっかけのひとつとして、昨年春から自衛隊体育学校の所属になり、レスリングに集中できる環境を手に入れたことがあげられる。「最初はどこに就職するか迷ったけど、最終的に食事面や練習面など環境が一番いいと思った自衛隊を選びました。トレーナーもいるので、自分が望んだ環境で練習することができる。起床時間や消灯時間があるなど厳しいところは厳しいけれど、朝ご飯をきちんと食べられるなど基本的なことがしっかりできる」

 自衛隊体育学校に入学したことだけではない。乙黒は人生のターニングポイントは全て環境が変わった時だと振り返る。「最初のそれは、初めて親元を離れてJOCエリートアカデミーの世話になり、江藤正基コーチに指導してもらったことです。次は山梨学院大に進学して小幡邦彦コーチに技術面を指導してもらったこと。自衛隊に来てからはオリンピックでメダルを取っている3人のコーチに指導してもらっていることです」

8年前、米満コーチの金メダルを触らせてもらった

 自衛隊の3人のコーチとは、2012年ロンドン・オリンピック男子フリースタイル66㎏級で金メダルを取った米満達弘コーチ、同55㎏級で銅メダルを取った湯元進一コーチ、そして2004年アテネ・オリンピック同60㎏級で銅メダルを取った井上謙二監督を指す。

3月の代表決定プレーオフで世界5位の奥井眞生を撃破し、オリンピック代表権を手にした乙黒=撮影・保高幸子

 ふだんの練習を見てもらう機会が多い湯元コーチからは「世界を相手にどう闘えばいいのか」という具体的なアドバイスをもらっている。「東京オリンピックでは強い選手が出てくることは分かっている。試合映像を見ながら、『この選手には、こういう攻撃がある』といった助言をいただいています」

 実弟で東京オリンピック男子フリースタイル65㎏級の日本代表に内定している乙黒拓斗(山梨学院大)とはコロナ禍後、数回しか会っていないというが、相変わらず兄弟仲は良好だ。「ときおりテレビ電話で近況報告はしているけど、一緒に練習はできないですね。オリンピックが延期になったことについては、自分にはまだ伸びしろがあるので、『むしろ良かったかも』という話をしました」

 ロンドン・オリンピックの直後、米満コーチが地元山梨でパーティーをやった際、まだ中学生だった同郷の乙黒も出席して金メダルに触らせてもらった。その時の記憶は鮮明だ。「重たかった。そして、自分も欲しいな、と思いました」

 それから8年。めっきり腕を上げた乙黒は、全てを力に転化させながら、1年後の晴れの舞台を楽しみに待っている。


【担当記者の見たレスリング(15)】台頭する都市型スポーツ! レスリングの危機は去っていない…船原勝英(元共同通信)

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(文:スポーツエディター・船原勝英=元共同通信記者)

 「より速く、より高く、より強く」は、よく知られたオリンピックの標語だ。競技種目でいえば、陸上の100m、走り高跳び、レスリングということになろうか。その基幹種目ともいえるレスリングが、オリンピック競技から除外されかかった時のことは、まだ記憶に新しい。

レスリング未曾有の危機に、全世界のレスリンク界が団結し、オリンピック競技の地位を守った=2013年3月の女子ワールドカップ(モンゴル)

 レスリング関係者なら先刻ご承知のことだが、再録したい。2013年2月に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、2020年東京大会実施26競技のうち25競技を選定し、レスリングは除外された。野球・ソフトボール、空手など7競技とレスリングとで残る1つの座を争うという、まさかの事態。

 IOCとのパイプが弱く、情報戦では出遅れたレスリング界だったが、いち早く組織改革とルール改正を実行し、9月のIOC総会では投票の1回目に過半数を獲得する圧倒的な支持を得てオリンピック種目の座を守った。

 「伝統競技除外」のニュースは世界に衝撃を与え、反発の声も上がった。少数のIOC理事会で除外競技を絞り込んだことも問題視された。レスリング関係者だけでなく、オリンピックの母国ギリシャからもIOCへの批判が高まった。筆者もIOCの姿勢に大きな疑問を感じていたので、残留決定のニュースに胸をなでおろした。

共産圏にメダルが偏っている状態も懸念材料

 とはいえ、レスリングの危機が去ったわけではない。商業化へ舵を切っているIOCは、プログラム委員会で普及度、注目度、オリンピックでの観客数、テレビ視聴率、スポンサー収入など40項目近いチェック項目で“査定”している。「除外候補」とされていた近代五種やテコンドーなどにレスリングが総合点で劣るとは思えないが、人気、普及度という面では上位ランクとはいかないだろう。

旧社会主義国では満員の観客を集めているレスリングだが…=2019年世界選手権(カザフスタン)

 メダル獲得国分布の偏りも懸念材料だ。ロシア、ジョージアなど旧ソ連圏やトルコ、イランなど中東、アジア諸国が表彰台を占めている。IOC委員を多数送り出している西欧諸国の獲得メダル数は、前回リオデジャネイロ大会では男女計18階級72個の総メダル中、わずか6個。いずれも銅メダルで、スウェーデン2、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、イタリアと驚くほど少ない。女子がオリンピック競技に加わった2004年アテネ大会以降、ほとんど傾向は変わらない。

 2024年パリ大会の実施競技を決めた2018年の理事会では、レスリングは中核28競技に入っているが、若者離れ対策とスポンサーつなぎ止めに躍起となっているIOCが、いつどのように方針を変えてくるかは読み切れない。

 2014年に採択した「アジェンダ2020」では、開催都市に追加種目の提案権を与える決定をした。それに沿って、パリが提起した追加種目では、東京大会で採用された空手が除外され、パリ提案では空手より下位だったブレークダンスが浮上している。フランスでは空手の人気、普及度は高く、柔道とともに子供のしつけとしても親たちから支持されている。東京大会が延期されたとはいえ、オリンピックの本番での実施を待たずに世界での愛好者1億人という空手を外した理由はよく分からない。

次回のユース・オリンピックではグレコローマンが実施されない

 筆者のメイン担当は陸上競技だったが、初めに書いた通り、レスリングはオリンピックに不可欠な競技だと考えている。「より強く」を象徴し、古代オリンピアの祭典競技からでも3000年近い歴史を持つ競技は、オリンピックの中核競技であるべきだ。レスリングを除外するオリンピックの方がおかしいと思っているほどだ。ただし、それには条件がある。

グレコローマンのオリンピック存続問題は、1990年ころから断続的に論議されている

 グレコローマン・スタイルの存在だ。その名の由来になっている「ギリシャとローマ」の古代から行われ、1896年の第1回アテネ近代オリンピックでも陸上、競泳、体操などとともに実施8競技に入った歴史を持つ。腰から下を攻めてはならない制約があるがゆえに、豪快な投げ技が魅力のダイナミックな競技スタイルだ。しかし、女子では行われておらず、一般ファンにはなじみが薄い。

 女子が採用される直前の2000年シドニー大会では、グレコローマン、フリースタイル各8階級あったが、次のアテネ大会で女子4階級が加わって男子は7階級ずつに。その後は女子の階級が増え、リオデジャネイロ大会から各スタイル6階級になり、男女合計ではシドニー大会当時とほぼ同階級数になっている。IOCの男女格差解消の方針に沿った階級調整だが、その行きつく先は、女子にないグレコローマンの廃止だろう。

 レスリング関係者、ましてグレコローマンにかかわる人からすれば「とんでもないこと」かもしれないが、今年6月、世界レスリング連盟(UWW)の理事(アゼルバイジャン)が「2024年パリオリンピックではグレコローマンは外れるだろう」と述べている。根拠は明らかではないが、一連の流れからは避けられない方向だろう(注=その後、ラロビッチ会長らが「聞き手の意味の取り違え」などと説明しているが…)。

 2022年開催が新型コロナウィルスのため4年後に延期になったセネガルでの第4回ユース・オリンピックでは、グレコローマンに替わって男女のビーチ8階級が実施されるなど、現実の動きにもなっている。

 IOCのバッハ会長は同月、ドーピング違反が絶えず、ずさんな組織運営が続く重量挙げをパリ大会の競技から除外することも辞さないと警告した。もう一つの「より強く」を象徴する重量挙げも例外ではないのだ。

旧来型スポーツのレスリングが生き残る道は?

 新規採用種目の圧迫は大きな脅威だ。東京大会で新採用されたスポーツクライミングは、①高さ15mの壁を2人同時に登って速さを競う「スピード」②約4mの壁を制限時間内にいくつ登れるかを競う「ボルダリング」③制限時間内に高さ12m以上の壁のどの地点まで登れるかを競う「リード」の3種目があり、それぞれ競技特性がかなり異なるが、オリンピックでは3種目の総合成績で順位を決める。新参者なので金メダルは男女1個ずつしか与えられないのだ。

オリンピックで実施されるスポーツクライミング。都市型スポーツはさらに台頭していくことが予想される

 ところが、パリ大会では「スピード」が単独種目に昇格し、男女4種目に拡大する。競技性、スピード感、分かりやすさ抜群で、テレビ向きの競技でもある。場所を取らないことなど運営面も含めて開催のストレスが少なく、今後の普及も見込めるので、オリンピック競技としての将来性は高い。

 スケートボード、ブレークダンスなど「都市型スポーツ」の参入で、好むと好まざるとにかかわらず、オリンピックの舞台は様変わりしていく。旧来型スポーツの占めるスペースの減少は避けられない。

 パリ大会でレスリングが実施されることは確実だが、階級数調整を含めてグレコローマンが残るかどうかは微妙だ。そうなると、レスリングをこれからもオリンピック競技として生き残らせるためには、グレコローマンを世界選手権種目に限る決断をすることではないか。

 陸上や重量挙げのドーピングとは違って、グレコローマンには何の罪もないのだが、身を削る覚悟が求められるのは、そう遠くない将来のような気がする。

船原勝英(ふなはら・かつひで)東京教育大(現筑波大)体育学部卒業後、1974年に共同通信入社。福岡支社を経て1982年から東京でプロ野球を担当し、1987年からはオリンピック競技をカバー。スポーツデータ部長、同企画室長として国体・総体の記録配信業務に携わった。1984年からは各地の放送局でコメンテーターを務める傍らスポーツコラムを執筆している。

担当記者が見たレスリング

■8月8日: マイナーからメジャーへ変貌! 選手はもっと主張していい…山口大介(日本経済新聞)
■8月1日:今はオンライン取材だが、いつの日か発信力を取り戻してほしい…牧慈(サンケイスポーツ)
■7月25日:IOCに「認められる」のではなく、「認めさせる」の姿勢と誇りを…森田景史(産経新聞)
■7月19日:弱さを露わにした吉田沙保里、素直な感情と言葉の宝庫だったレスリング界…首藤昌史(スポーツニッポン)
■7月11日:敗者の気持ちを知り、一回り大きくなった吉田沙保里…高橋広史(中日新聞)
■7月4日: “人と向き合う”からこそ感じられた取材空間、選手との距離を縮めた…菅家大輔(日刊スポーツ・元記者)
■6月27日: パリは燃えているか? 歓喜のアニマル浜口さんが夜空に絶叫した夜…高木圭介(元東京スポーツ)
■6月20日: 父と娘の感動の肩車! 朝刊スポーツ4紙の一面を飾った名シーンの裏側…高木圭介(元東京スポーツ)
■6月13日: レスリングは「奇抜さ」の宝庫、他競技では見られない発想を…渡辺学(東京スポーツ)
■6月5日: レスラーの強さは「フィジカル」と「負けず嫌い」、もっと冒険していい…森本任(共同通信)
■5月30日: 減量より筋力アップ! 格闘技の本質は“強さの追求”だ…波多江航(読売新聞)
■5月23日: 男子復活に必要なものは、1988年ソウル大会の“あの熱さ”…久浦真一(スポーツ報知)
■5月16日: 語学を勉強し、人脈をつくり、国際感覚のある人材の育成を期待…柴田真宏(元朝日新聞)
■5月9日: もっと増やせないか、「フォール勝ち」…粟野仁雄(ジャーナリスト)
■5月2日: 閉会式で見たい、困難を乗り越えた選手の満面の笑みを!…矢内由美子(フリーライター)

レスリングは4選手が摘発され、競技別ではワースト3位…2012年ロンドン・オリンピックのドーピング再検査が終了

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 「ドーピングの“逃げ得”は許さない」として、国際オリンピック委員会(IOC)と世界アンチドーピング機構(WADA)が2012年ロンドン・オリンピックで採取した検体の最新技術による再検査が終了。全競技で139人のドーピング違反選手を摘発し、レスリングは4人だった。陸上の91人、重量挙げの34人に比べると大幅に少ないが、全競技の中では自転車とともに3位となる選手数。

 違反選手139人は、2008年北京オリンピックの81人を大きく上回る史上最多の違反者数(注=検査した数もかなり多いようだが、詳細は不明)。メダリストは39人で、金メダリストは13人だった。国別では、ロシアが46人で最多。ウクライナの17人、ベラルーシの15人と続き、日本選手はいなかった。

 レスリングの違反者は下記の通り。


2012年ロンドン・オリンピック/ドーピング違反者

■男子フリースタイル60kg級2位  Besik Kudukhov(ロシア)
■男子フリースタイル74kg級3位   Soslan Tigiyev(ウズベキスタン)
■男子フリースタイル125kg級優勝 Artur Taymazov(ウズベキスタン)
■男子フリースタイル125kg級2位   Davit Modzmoniashvili(ジョージア)

※60kg級のベシク・クドホフは、違反が判明する前に交通事故死しており、順位のはく奪は行わなかった。IOCホームページでは銀メダルのままになっている。

【記録】破られる日が来るか、吉田沙保里の16度の優勝…オリンピック&世界選手権・メダル獲得ランキング

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16度の世界一に輝いた吉田沙保里=2015年世界選手権(撮影・矢吹建夫)

 女子の世界選手権の優勝回数、およびオリンピックと世界選手権を合わせた優勝回数は、ともに吉田沙保里が最高記録。世界選手権13度、オリンピック3度の通算16度の世界一に輝いた。

 伊調馨が両部門とも2位で続き、世界選手権は10度、オリンピックと合わせた世界一は14度。小原日登美は世界選手権8度、オリンピックと合わせた世界一は9度で、両部門とも3位になっている。

 現役では、75kg級のアデライン・グレイ(米国)の5度の世界一(いずれも世界選手権)が最高。川井梨紗子の4度の世界一(世界選手権3度・オリンピック1度)が続くが、ともに歴代3位までには、まだ多くの優勝を重ねなければならない。

 川井は4大会連続優勝で、これは吉田(16大会連続)、伊調(7大会連続)に続き、浦野弥生とともに歴代3位の記録。2023年まで世界一を続ければ、伊調を抜いて歴代2位となる。

 女子の世界一の上位選手は下記の通り。


オリンピック・世界選手権/メダル獲得ランキング(女子)カッコはオリンピック

No. 選 手 名 国 名
1 吉田沙保里 日 本 16(3) 1(1)   17(4)
2 伊調 馨 日 本 14(4)     14(4)
3 小原(坂本)日登美 日 本 9(1)     9(1)
4 Nordhagen-Vierling, Christine カナダ 6 1 1 8
5 浦野弥生 日 本 6 1   7
6 浜口京子 日 本 5 2 5(2) 12(2)
7 Hristova, Stanka Zlateva ブルガリア 5 2(2) 1 8(2)
8 Zhong, Xiue(鍾秀娥) 中 国 5 2   7
9 吉村祥子 日 本 5 1 3 9
10 Gray, Adeline Maria 米 国 5   2 7
11 Liu, Dong Feng(劉東風) 中 国 5   1 6
12 Hartmann-Duenser, Nikola オーストリア 5     5
13 Gomis, Anna フランス 4 2 3(1) 9(1)
14 Melnik-Merleni, Irina ウクライナ 4(1) 2 1(1) 7(2)
15 Hoeie, Gudrun Annette ノルウェー 4 1 1 6
16 川井梨紗子 日 本 4(1) 1   5(1)
登坂絵莉 日 本 4(1) 1   5(1)
Saunders, Patricia 米 国 4 1   5
19 正田絢子 日 本 4   1 5
20 山本聖子 日 本 4     4

世界選手権・メダル獲得ランキング(女子)

No. 選 手 名 国 名
1 吉田沙保里 日 本 13     13
2 伊調 馨 日 本 10     10
3 小原(坂本)日登美 日 本 8     8
4 Nordhagen-Vierling, Christine カナダ 6 1 1 8
5 浦野弥生 日 本 6 1   7
6 浜口京子 日 本 5 2 3 10
7 Zhong, Xiue(鍾秀娥) 中 国 5 2   7
8 吉村祥子 日 本 5 1 3 9
9 Gray, Adeline Maria 米 国 5   2 7
10 Hristova, Stanka Zlateva ブルガリア 5   1 6
Liu, Dong Feng(劉東風) 中 国 5   1 6
12 Hartmann-Duenser, Nikola オーストリア 5     5
13 Gomis, Anna フランス 4 2 2 8
14 Hoeie, Gudrun Annette ノルウェー 4 1 1 6
15 Saunders, Patricia 米 国 4 1   5
16 正田絢子 日 本 4   1 5
17 山本聖子 日 本 4     4
18 Dugrenier, Martine カナダ 3 3   6
19 Melnik-Merleni, Irina ウクライナ 3 2   5
20 伊調千春 日 本 3 1   4
川井梨紗子 日 本 3 1   4
登坂絵莉 日 本 3 1   4
山本美憂 日 本 3 1   4

 

ウクライナが国内選手権を開催、来月はロシア、10月は米国が開催へ

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東京オリンピックの出場権を手にしているアレクサンダー・コチャノフスキー。ウクライナ選手権を制し、幸先いい再スタートを切った=写真は2019年世界選手権

 ウクライナ協会のホームページによると、男子フリースタイルのウクライナ選手権が8月14~16日にオデッサで行われた。フィンランドで世界レスリング連盟(UWW)非公認ながら国際大会が行われ、多くの国でレスリング活動が再開されて活発になり始めているが、ナショナルレベルの大会が行われたのは初めてと思われる。

 結果は、125kg級で昨年の世界選手権3位のアレクサンダー・コチャノフスキーが優勝。57kg級は昨年U23欧州選手権優勝のアンドレイ・ヤチェンコ(昨年の世界選手権代表)、65kg級は今年2月の欧州選手権3位のエリク・アルシャニアン、79kg級も同3位のバシリ・ミカイロフなど東京オリンピックを目指すと思われる選手が優勝した。

 同国では、今月中にジュニアとU23女子、来月にはU23男子の各ウクライナ選手権が予定されている。新型コロナウィルス拡大防止のため、参加要件は「より厳格な条件を求める」としている。

 ロシアは9月26~28日に女子、10月9~11日に男子フリースタイルのロシア選手権を予定。米国では10月9~11日に全米選手権の開催が予定されている。世界的な新型コロナウィルスの脅威はまだおさまりそうもないが、レスリング界の一部の国は間違いなく活発に動き出している。

【2011年思い出の動画(5)】米満達弘がロンドン・オリンピック代表を決める…全日本選手権(男子フリースタイル)

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 ロンドン・オリンピックの代表選考を兼ねた2011年全日本選手権。66kg級は世界選手権2位の米満達弘(自衛隊)がオリンピック出場2度の池松和彦(池松オリンピックレスリングアカデミー)にフォール勝ち。2年連続3度目の優勝を遂げ、日本協会の定めた規定によってオリンピックの日本代表に内定した。

 60kg級は、世界選手権3位の湯元健一(ALSOK)が2回戦で敗れ、オリンピック代表は翌春に持ち越し。同級は前田翔吾(ニューギン)が3年ぶり2度目の優勝を遂げ、オリンピックへの道をつなげた。

 74kg級は3年連続学生二冠王を達成した高谷惣亮(拓大)が初優勝。55kg級は世界8位の湯元進一(自衛隊)が宿敵の稲葉泰弘(警視庁)を破って2年連続3度目の優勝。


《男子フリースタイル・決勝》

【55kg級】
湯元進一(赤=自衛隊)○[2-0(3-1,0-1,3-2)]●稲葉泰弘(警視庁)


【60kg級】
前田翔吾(赤=ニューギン)○[2-0(1-0,1-0=2:04)]●石田智嗣(早大)


【66kg級】
米満達弘(赤=自衛隊)○[フォール、1P0:47(F3-0)]●池松和彦(池松オリンピックレスリングアカデミー)


【74kg級】
高谷惣亮(青=拓大)○[2-0(2-0=2:06,2-0=2:28)]●小島豪臣(K-POWERS)


【84kg級】
松本篤史(赤=ALSOK)○[2-0(3-2,7-1=1:38)]●門間順輝(秋田市消防本部)


【96kg級】
磯川孝生(赤=徳山大職)○[2-1(0-1=2:04,1-0,3-0=2:04)]●下中隆広(岐阜県体協)


【120kg級】
荒木田進謙(赤=専大クラブ)○[2-0(1-0,2-0)]●馬場祐太朗(長崎県協会)

 

【特集】実らなかった“36歳の挑戦”だったが、多くの人が共感…プロボクシングの世界で燃えた米澤重隆さん(青山学院大レスリング部OB)-(上)

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 人は大人になると、何かと理由をつけて挑戦することを諦めてしまいます。年齢が…、環境が…、家族が…。できない理由を探して、挑戦することから逃げようとします。ヨネにはいくらでも諦める理由がありましたが、彼は逃げませんでした。

 年齢や環境を言い訳にはしない。何かに挑戦するのに遅いということはないし(年齢制限のあるものを除く)、どんな環境でも最大限のベストを尽くすことはできる。できない理由を考える前に、どうしたらできるかを考えて、チャレンジする。その先にある結果は、どんな形であれ、実り多きもの。人生の財産になることは間違いありません。

 最近出版された「一八〇秒の熱量」(山本草介著)に対するスポーツ・ジャーナリスト、佐久間一彦氏の書評の一部だ。描かれているのは、青山学院大レスリング部OBの米澤重隆さん(43歳)。30歳でプロボクシングの道に進み、 “定年”の37歳を目前にした無謀とも思われる闘いのドキュメンタリーだ(書評中、「ヨネ」と書かれているのは、筆者が部の1年先輩で、先輩から後輩へのエールだから)。

大きな反響を呼んでいる“中年ボクサー”のドキュメンタリー、「一八〇秒の熱量」

 出版した双葉社の熱意がすごい。数多くの新聞の一面下の広告で宣伝するなどの力の入れ方。書評も多く書かれ、スポーツ報知では、中面だがほぼ1ページを使って著者のインタビュー記事を載せた。世界王者や知名度のある選手を扱った書なら分かるが、日本ランクにも入れなかった“中年ボクサー”の生き様を描いた書としては、異例の扱われ方と言っていい。

 当の米澤さんも、メディアの反応に「びっくりしています」と困惑気味。著者の山本氏はフリーランスのTVディレクターで、2013年に米澤さんの定年までの9ヶ月間を密着取材してNHKのドキュメンタリーで放送。7年経っても冷めることがなかった熱き気持ちを出版した書だ。

才能に恵まれないボクシング選手だったが…

 日本でも東洋太平洋でも世界でも、チャンピオンになれば37歳の定年が適用されず、ボクシングを続けることができる。挑戦を続けたかったから、37歳で終わりにしたくなかった。だが、才能も技術もスピードもなく、優れた反射神経もなければ、KOにつながる一発パンチもない選手だ。

ボクシング生活で真っ赤に燃えた6年前を振り返る米澤重隆さん

 夜勤続きの仕事を余儀なくされ、腰痛もあった。NHKの取材開始時点で5勝6敗2分け。チャンピオンなど手が届くはずもない目標だったかもしれない。

 「努力にまさる天才なし」「努力は嘘をつかない」という言葉は、否定されるものではないが、年齢を重ねていくと、努力では埋められない才能の差があることは、だれもが感じていく。それでも、夢を追い続ける人もいる。20代前半なら周囲のだれもが理解する。後半なら「悔いのないようにやればいい」だろうか。だが、30代半ばを超えていたら…。

 同時進行の3回連続放映の予定が、最終的に11回になったのは、夢をあきらめるのが普通の年になっても、周囲の視線をものともせずに自分を貫く姿が山本氏の胸を打ったから他なるまい。

オリンピアンの監督に鍛えられ学生2位となったレスリング時代

世界10位の選手に挑む前の米澤さん=2013年9月、オーストラリア・ゴールドコースト(本人提供)

 米澤さんは、千葉県の中学でレスリングを始め、八千代松陰高時代は1994年の国体5位が最高。現在の井上謙二・男子フリースタイル強化委員長(自衛隊=当時京都・網野高)が高校三冠王者に輝いていた。青山学院大へ進んだ時は「インカレ(全日本学生選手権)の決勝に残るとか、全日本選手権に出ることなど考えられない選手だった」と言う。

 1996年アトランタ・オリンピックの代表になった三宅靖志監督のもとで実力を伸ばし、3年生の時の1997年全日本選抜選手権で3位、翌1998年全日本学生選手権で2位へ(ともにグレコローマン76kg級)。

 新人選手権ではベスト8が最高だったというから、大学の後半で実力を伸ばしたことになる。3年生の時に階級区分が変わり、「74kg級が76kg級に変わったことがよかった。あのままなら、74kg級は無理になっていたので82kg級でした。その階級では、上には行けなかったでしょう」と振り返る。

 当時の76kg級の全日本王者は2度のオリンピック出場の実績を残した片山貴光(自衛隊)。全日本選抜3位までいっても実力の差は明白で、その時は、「片山さんが引退したあと、オリンピックを目指せるかなあ…」という気持ちだったという。

 ところが、2位になった全日本学生選手権の決勝で肩を脱臼。この負傷が尾を引き、レスリング選手としてはそこまでだった。当時はレスリングと総合格闘技がリンクし始めた頃。レスリング界からも多くの選手が総合格闘技や“関節技のあるレスリング”のコンバットレスリングに参加していた。気楽な気持ちで全日本コンバットレスリング選手権に出場し、優勝したこともあるが、本格的に取り組む気持ちはなく、格闘人生はそこでいったん終わった。

 しかし、社会人生活を続けていくうちに、自らの人生に不完全燃焼を感じたのだろう。28歳で総合格闘技の世界に足を踏み入れ、プロの大会に出るまでになった。打撃の技術を身につけるためボクシングを学ぼうとしたのが30歳。それが、人生をかけた壮絶な挑戦の幕開けだったとは、当時はつゆほども思わなかった。

《続く》

【特集】実らなかった“36歳の挑戦”だったが、多くの人が共感…プロボクシングの世界で燃えた米澤重隆さん(青山学院大レスリング部OB)-(下)

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《「上」より続く》

 子供の頃から争いごとが嫌いで、殴り合いの喧嘩をしたこともないと言う米澤さん。「一八〇秒の熱量」の著者の山本草介さんに「殴らないで勝つ方法、ありますか?」と聞いたことがあるそうだ。ボクシングに向く性格ではなかった。ところが、初めて接したボクシングに魅入られてしまった。

東洋太平洋ランキング入りを目指してタイへ遠征した時の米澤さん=2013年6月(本人提供)

 ボクシングは、パンチによる攻撃しか認められていない。「腰から下を殴ったり、倒れた相手を殴ったりしては駄目」以外にも、一般には知られていない細かなルールもある。攻撃は極めて制約されている格闘技だ。その中で、どう攻め、どう守るか。上半身の攻防に限られるグレコローマンと相通じるものがあると言う。もしかしたら、グレコローマン選手としての“燃え残ったもの”がエネルギーだったのかもしれない。

 当時はプロのライセンスを取得するのは29歳までだったが、ルールが変わって32歳までとなった運にも恵まれ、2009年7月にプロテストに合格。ボクシングにかけることになった。

 デビュー戦でのTKO負けを経て、35歳で迎えた新人王決定戦では決勝まで進みながら惜敗(2011年11月6日、本HP記事)。プロボクサーの定年の37歳を迎えるのが先か、定年を免除されるチャンピオンになるのが先かの約9ヶ月間にわたる闘いの様子は、「一八〇秒の熱量」に詳しく書いてあるので割愛するが、読んだ人なら、だれもが「なぜ、そこまで?」と思ってしまう、ひたむきな挑戦だった。

過酷な戦いだったが、「やめる理由がなかった」

 世界王者にでもならない限り、ボクシングだけでは生活できない。米澤さんは、夜勤も多くある不規則な契約の仕事をしながらのボクシング活動だった。睡眠時間が数時間で(しかも倉庫で寝る時もあった)ジムに向かうことも。正社員になってしまってはボクシング活動が制限され、試合前にまとまって休みをもらうこともできないから、その立場を続けた。

タイの試合会場。ムエタイとともに、ボクシングも盛んで、熱く燃える闘いが展開されている(本人提供)

 途中、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)という腰の故障を発症し、整骨院に何度も通った。節制を強いられるスポーツなので、学生時代は底なしに飲んでいた酒はぴたりとやめた。「ダメージが残るから」と熱い風呂へ入ることも制限しなければならない生活。米澤さんは挑み続け、ジムの会長もサポートをやめなかった。才能に恵まれていて、会長やコーチが眠っている素質を開花させようとしていたのなら理解できる。そうではない。

 何度も聞かれたであろう、挑み続けた理由を聞いた。著者の山本氏は「人が本当にやりたいことって、簡単にその理由が言えないから、やるんじゃないか」と結論づけていたので(スポーツ報知)、簡単に答えは返ってこないことも予想された。

 だが、米澤さんは「やめる理由がなかったんですよ」と即座に答えてくれた。睡眠も満足にとれない不規則な生活でも、ジムに行って練習はできたし、その日の食事代に困るほどの貧困生活ではなかった。「夜勤もある不規則な仕事を理由に(ボクシングを)やめたくなかった。仕事を変えればいいじゃないか、となるでしょ」

 腰痛がひどい時もあったが、「寝たきりだったら、やめたでしょう。そうではなかった。腰痛もやめる理由にはならなかったですね」。

“定年”がなければ、「今もダラダラやっていたかも」

 「30代中盤の男が貯金も満足になく、将来に不安を持たなかったのか」との問いには、「親は心配していたでしょうね…」と前置きし、やや答えに詰まった。そして「そこまで考える人間じゃなかったんですよ。まあ、今、こうして生活できているから、よかったんじゃないですか」と笑う。

ボクシングではお馴染みの“ガンつけ合戦”に挑んだ! 相手は世界10位!=2013年9月(本人提供)

 危険な職業として生命保険にも入れないが、重大事故を考えるようならグローブははめない。試合の時は厳格なドクターチェックがあり、救急車が会場に待機しているなど、ボクシングのリング禍を防ぐための体制はすばらしいそうで、「好きなことをやって、そこまでやってもらって、それで万が一の時は仕方ない、という気持ちでした」と言う。

 「その意味では、37歳定年制は賛成です。このルール、日本だけなんです。37歳以上になると、海外で試合をする選手もいます」と説明しながら、自身の闘いは37歳できっぱり終え、それでよかったことを強調した。「定年があったから、あれだけ集中して燃えられた。そうでなかったら、今もダラダラやっていて、体が壊れていたかもしれない」。

 話の中に「自分に負けたくない」「自分を高めたい」「どこまで行けるか試してみたかった」「自分の持っているものを出し切りたい」という言葉も出てきた。いろんな要素がからみあっての“三十路の挑戦”だった。37歳の誕生日の直前に行われた最後の試合を終えた時は「やり切った」という気持ちだったという。

 それから6年。ボクシング時代を支えてくれたみな子さんと結婚し(引退セレモニーのリング上で公開プロポーズ)、“普通の”社会人生活を送っている。「もう、あれだけ燃えることはできないですよ。今は余生です」と笑う。

挑戦と努力は必ずしも成果につながらない、それでも…

 かつてNHKで「プロジェクトX」というドキュメンタリー番組があった。日の当たらない長い下積みにもかかわらず、あくなき挑戦と努力の末に成果を出した“サクセス・ストーリー”の番組は6年近く続き、多くの人が共感し、人生の指針とした。

日の丸には多くの激励のサイン。36歳の熱き挑戦を多くの人が応援した=2013年9月(本人提供)

 一方で、挑戦と努力は必ずしも成果につながるものではない。米澤さんの挑戦も「成功」を導くことはできなかった。それでも、本人の心には何ものにも代えられない貴重な財産として残った。「燃え切れた」と感じれば、その人にとっての“心の金メダル”。その生きざまは人を感動させ、共感させるものがある。

 いろんな書評に描かれている読後感は、単なる共感の域を超えていると言っていい。「夢にかける熱量に圧倒された」「心が震える」「自分が失ってしまった何かが見えてくるだろう」「漠然と生きる私たちを鼓舞する」(以上アサトーミナミさん)、「時空を超えて飲みこまれる」「不気味ささえ覚える余韻」(以上秋山千佳さん)…。

 挑戦と努力の素晴らしさを見せてくれた米澤さんの生きざまは、「この努力は実を結ばないかもしれない…」と感じ始めた人や、挑戦を求めてさまよっている人に、大きなエネルギーを与え、気持ちを奮い立たせてくれることだろう。

 燃え切った米澤さんだけに、その後の6年間で次の目標が見つからないのも当然かもしれない。だが、人生80年とも90年とも言われる現在、37歳から40年以上の「余生」は長すぎる。それを問うと、「こうして出版されたことをきっかけに、どこかでボクシングの指導に携わるのもいいですね」と言う。

 米澤さんなればこそ、再び熱く燃える目標を見つけ、今度は「人生、死ぬまで挑戦だ」という生き方を見せてほしい。

《「一八〇秒の熱量」通信販売サイト》


【担当記者が見たレスリング(16)】スイミングクラブや体操教室ぐらい身近な競技に!…金島淑華(朝日新聞)

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(文=朝日新聞・金島淑華)

 私には、もうすぐ3歳になる息子がいる。平均と比べてかなり体が大きい。まだ歩くこともできない頃、日本レスリング協会元理事の村本健二さんに抱っこしてもらう機会があり、「胴がしっかりしている。レスリングをやらせたらいい」と勧められた。

年々盛んになるキッズ・レスリング。さらなる発展が望まれる=2019年全国少年少女大会(和歌山市)

 体を動かすことが好きで、体力を持て余す日々。村本さんの助言通り、レスリングをやらせてみようと思い、パソコンに向かった。まず日本レスリング協会のホームページで調べてみた。リンク集に「レスリング・クラブ(少年・中学)」とあり、全国各地のクラブが一覧になっていた。これはありがたい。我が家がある東京都のクラブを上から順にクリックしてみた。

 だが、ここで問題が生じた。5ヶ所あるうち、2ヶ所はサイトが見つからないなどの理由でリンク先に飛べなかった。残り3ヶ所は都心にあり、23区外の我が家から通うには遠すぎる。

 次にネットで「レスリング」「キッズ」「東京」と入力し、探してみた。いくつかヒットしたものの、我が家から最も近い永田克彦さん主宰の「WRESTLE-WIN」まで電車を乗り継いで1時間以上かかる。「楽しくレスリングを教われればいい」。現時点で親の気持ちはその程度なので、往復2時間の送り迎えはつらい。

 レスリング関係者の助言で、全国少年少女連盟のホームページにある全国クラブ一覧を見させていただいた。東京都だけで30のクラブが並んでいた。しかし、場所が分からない。住所と電話番号だけでも書いてくれればいいのに、とため息が出た。

全日本チームの練習で見た衝撃の場面

 私は2015年からレスリング担当になり、2016年リオデジャネイロ・オリンピックを取材させてもらった。練習や合宿を見て、スパーリングの激しさにはもちろん圧倒されたが、特に驚いたのがウォーミングアップや全体練習後の補強だった。

リオデジャネイロ・オリンピックで金メダルを獲得した土性沙羅、登坂絵莉、伊調馨(左から)の3選手。男子代表の樋口黎選手と高谷惣亮選手の応援に向かったものの、会場から離れたところで車から降ろされてしまい、小走りで向かっているところに遭遇した。結局、初戦には間に合わなかったものの、汗だくになりながらも「2人とも勝ってよかった」と一安心の3選手=2016年8月19日(筆者撮影)

 マットの上でいとも簡単に宙返りをしたり、女子選手でも手だけでロープを上り下りしたり。これまでプロ野球やサッカーなども取材してきたが、「これはすごい。ありとあらゆるスポーツの基本が身につく。いつか子供が産まれたら絶対に体験させたい」と思ったほどの衝撃だった。

 のちにリオ・オリンピック女子48kg級金メダリストになった登坂絵莉選手から「子どものうちにレスリングをやるのはお勧めです。身体の使い方がうまくなるので、他の競技に転向して伸びている子もいます」と聞いて、「やっぱり!」とうれしくなった。

 だが、残念なことに、実際に子供が産まれ、いざという時、前述したとおりの「壁」が立ちはだかった。幼少期の習い事として身近なスイミングクラブや体操教室はあふれるほどある。私の周辺では入会が順番待ちのところだってあるのに……。

 そういえば、リオ・オリンピックのメダリストたちは皆、親がレスリング経験者か近所にレスリング・クラブがあった。素人が思い立って子どもに習わせるのは容易でない競技、ということか。ああ、もったいない。

吉田沙保里の敗戦で感じた危機感

 日本協会の資料によると、世界選手権で初めて女子が実施された1987年、出場したのは8ヶ国の42選手だった。それが2019年は55ヶ国で252選手にのぼった。階級が増えているので単純に比較できないにしても、世界的なレスリング人口が確実に増えていることは分かる。

2016年2月のアジア選手権(タイ・バンコク)。会場までのバスの中で選手を撮影する筆者

 リオ・オリンピック女子53kg級で吉田沙保里選手を破って金メダルに輝いた米国のヘレン・マルーリス選手は、会見で「沙保里がどのように考え、どのような戦略を立てるか研究した」と明かした。試合の映像を見るだけではなく、インタビューを翻訳し、出演しているCMまで見たという。

 私はこれを聞いて、危機感を覚えた。一時代を築きながら、体格で日本を上回る外国勢に技術をまねられ、追いつき追い越される…。女子レスリングも、バレーボールの東洋の魔女や体操ニッポンになりかねないと。

 すでに普及に尽力されている方がいるのは承知しているが、個人個人が頑張るのではなく、日本協会をあげて取り組んでいただきたい。男女問わず、競技人口を増やすことで、国内でも切磋琢磨しながら競技力を向上できる環境が生まれるはずだ。草の根レベルで言えば、幼稚園などで行われている体操教室のように、マットがあれば十分やれると思う。

 近い将来、我が家の近くにも、レスリングができる場所がつくられることを願っている。

金島淑華(かねしま・しずか)1982年、宮城県生まれ。2005年に入社。レスリング取材歴は浅いが、2016年のアジア選手権(タイ・バンコク)でUWW女性委員会メンバーにイランの女子レスリング事情を聞いたり、同年、伊調馨選手が13年ぶりに敗れた(不戦敗を除く)あと、初の公式戦となったポーランド・オープンを現地で取材したりした。

担当記者が見たレスリング

■8月15日:台頭する都市型スポーツ! レスリングの危機は去っていない…船原勝英(元共同通信)
■8月8日: マイナーからメジャーへ変貌! 選手はもっと主張していい…山口大介(日本経済新聞)
■8月1日:今はオンライン取材だが、いつの日か発信力を取り戻してほしい…牧慈(サンケイスポーツ)
■7月25日:IOCに「認められる」のではなく、「認めさせる」の姿勢と誇りを…森田景史(産経新聞)
■7月19日:弱さを露わにした吉田沙保里、素直な感情と言葉の宝庫だったレスリング界…首藤昌史(スポーツニッポン)
■7月11日:敗者の気持ちを知り、一回り大きくなった吉田沙保里…高橋広史(中日新聞)
■7月4日: “人と向き合う”からこそ感じられた取材空間、選手との距離を縮めた…菅家大輔(日刊スポーツ・元記者)
■6月27日: パリは燃えているか? 歓喜のアニマル浜口さんが夜空に絶叫した夜…高木圭介(元東京スポーツ)
■6月20日: 父と娘の感動の肩車! 朝刊スポーツ4紙の一面を飾った名シーンの裏側…高木圭介(元東京スポーツ)
■6月13日: レスリングは「奇抜さ」の宝庫、他競技では見られない発想を…渡辺学(東京スポーツ)
■6月5日: レスラーの強さは「フィジカル」と「負けず嫌い」、もっと冒険していい…森本任(共同通信)
■5月30日: 減量より筋力アップ! 格闘技の本質は“強さの追求”だ…波多江航(読売新聞)
■5月23日: 男子復活に必要なものは、1988年ソウル大会の“あの熱さ”…久浦真一(スポーツ報知)
■5月16日: 語学を勉強し、人脈をつくり、国際感覚のある人材の育成を期待…柴田真宏(元朝日新聞)
■5月9日: もっと増やせないか、「フォール勝ち」…粟野仁雄(ジャーナリスト)
■5月2日: 閉会式で見たい、困難を乗り越えた選手の満面の笑みを!…矢内由美子(フリーライター)

8.8岡山県高校総体・代替大会/レスリング競技 成績

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(8月8日、倉敷鷲羽高校体育館)


《個人戦/一覧表・トーナメント表》

一 覧 表 51・55・60kg級 65・71・80kg級 92・125kg級

個人戦

▼51kg級 [1]森本雄生(倉敷)、[2]船越陽晴(おかやま山陽)、[3]鈴木健斗(倉敷鷲羽)

▼55kg級 [1]高谷有輝(高松農)、[2]北村一気(笠岡工)、[3]三宅裕二郎(倉敷鷲羽)、姫井晴輝(倉敷)

▼60kg級 [1]髙杉将輔(高松農)、[2]日下部篤(倉敷鷲羽)、[3]重信裕心(おかやま山陽)、鈴木涼太(倉敷)

▼65kg級 [1]三谷剛大(高松農)、[2]松前宇一(おかやま山陽)、[3]谷川光星(おかやま山陽)、中田大輝(倉敷鷲羽)

▼71kg級 [1]小野健作(高松農)、[2]佐藤孝太(倉敷)、[3]新藤真豊(関西)

▼80kg級 [1]槇井大伍朗(関西)、[2]堀野正太郎(高松農)、[3]目黒航太(倉敷)、重政信長(倉敷)

▼92kg級 [1]塩飽周羅(おかやま山陽)、[2]宮川陸(笠岡工)

▼125kg級 [1]江草和希(笠岡工)、[2]坂本幸司(おかやま山陽)、[3]天野虹輝(倉敷鷲羽)


【50kg級】3位=鈴木健斗(倉敷鷲羽・2年)、優勝=森本雄生(倉敷・3年)、2位=船越陽晴(おかやま山陽・3年)

【55kg級】3位=三宅裕二郎(倉敷鷲羽・2年)、姫井晴輝(倉敷・3年)、優勝=高谷有輝(高松農・3年)、2位=北村一気(笠岡工・2年)

【60kg級】3位=重信裕心(おかやま山陽・3年)、鈴木涼太(倉敷・2年)、優勝=髙杉将輔(高松農・2年)、2位=日下部篤(倉敷鷲羽・3年)

【65kg級】3位=中田 大輝(倉敷鷲羽・2年)3位=谷川光星(おかやま山陽・2年)、優勝=三谷剛大(高松農・3年)、2位=松前宇一(おかやま山陽・3年)

【71kg級】3位=新藤真豊(関西・3年)、優勝=小野健作(高松農・3年)、2位=佐藤孝太(倉敷・3年)

【80kg級】3位=目黒航太(倉敷・2年)、重政信長(倉敷・3年)、優勝=槇井大伍朗(関西・3年)、2位=堀野正太郎(高松農・3年)

【92kg級】、2位=宮川陸(笠岡工・3年)、優勝=塩飽周羅(おかやま山陽・3年)

【125kg級】3位=天野虹輝(倉敷鷲羽・2年)、優勝=江草和希(笠岡工・2年)、2位=坂本幸司(おかやま山陽・2年)

▲71㎏級優勝の小野健作(高松農)

▲60㎏級優勝の髙杉将輔(高松農)

 

【2012年思い出の動画】日本が3階級を制覇…ロンドン・オリンピック/女子・決勝

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(2012年8月8日、英国・ロンドン/ OLYMPIC CHANNELへのリンク)


※上映前に広告が入る場合があります。

【48kg級決勝】
小原日登美(日本)○[2-1(0-4,1-0,2-0)]● Mariya Stadnyk(アゼルバイジャン)


【55kg級決勝】
吉田沙保里(日本)○[2-0(3-0,2-0)]●Tonya Verbeek(カナダ)


【63kg級決勝】
伊調馨(日本)○[2-0(3-0,2-0)]●景瑞雪(中国)


【72kg級決勝】
Natalia Vorobieva(ロシア)○[フォール、2P0:46(0-1,F3-0)]● Stanka Zlateva(ブルガリア)

10.24~25全国社会人オープン選手権・社会人段別選手権は中止

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 日本社会人連盟は8月23日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、10月24日(土)~25日(日)に埼玉・富士見市立市民総合体育館で行う予定だった全国社会人オープン選手権と社会人段別選手権の中止を発表した。


 

各 位

日本社会人レスリング連盟
会長  早坂 孝

令和2年度
第37回全国社会人オープン選手権大会及び
第26回社会段別選手権大会(中止)のお知らせ

 平素より、本連盟の諸事業につきましては、格別なるご高配を賜り厚くお礼申し上げます。

 さて、本連盟は、本年10月に開催予定の標記大会に向けて大会開催のアンケートをとり、新型コロナウイルス感染予防対策を講じて開催に向けた準備を進めておりましたが、全国的な新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から(中止)することになりましたので、お知らせいたします。

 皆様のご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

(開催中止)

大会名・・・令和2年度第37回全国社会人オープン選手権大会及び第26回社会人段別レスリング選手権大会

期 間・・・令和2年10月23日(金)~10月25日(日)

場 所・・・埼玉県・富士見市立市民総合体育館

ベラルーシでも国内選手権を再開、CIS大会や世界選手権出場へ意欲

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ベラルーシでも大会が再開=同国協会ホームページより

 ベラルーシ・レスリング協会のホームページによると、8月14~18日に首都ミンスクで3スタイルのU23ベラルーシ選手権が行われ、女子59kg級で昨年の欧州カデット選手権57kg級優勝のクリスティナ・ズダンケビッチらが優勝した。この成績によって、10月にロシア・カザンで行われる第1回CIS大会の代表を決めるという。21ヶ国で視聴できるテレビ中継があった。

 CISは「Commonwealth of Independent States」の略で、1991年にソ連が崩壊した時、15の共和国のうちバルト3国(ラトビア、リトアニア、エストニア)とジョージアを除く11ヶ国によって結成された国家連合体。その後、ウクライナが抜けるなどし、現在は9ヶ国が加盟している。

 今年8月、CIS加盟国による第1回総合大会(23歳以下による21競技)がロシア・カザンで行われる予定だった。新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)のため、10月に延期になっている。現段階で「中止」との報道はない。

 同協会のユーリ・シェルバチェンヤ事務局長は「今回の大会は、パンデミックが始まってから、最初の大きな大会でした。ベラルーシのレスリング界は活動を再開しました」と話した。

 9月にミンスクで予定されていた男子フリースタイルのメドベジ国際大会は、世界レスリング連盟(UWW)が10月までの大会を中止することを決めたことでなくなったが、11月13~15日に同所で行われる男子グレコローマンのオレグ・カラワエフ国際大会は実施の予定。

 同事務局長は「2020年のシーズンはまだ終わっていません。ベラルーシのレスラーは、CIS大会のほか、ポーランドでの国際大会(11月)、シニアとジュニアの世界選手権(12月)を楽しみにしています。選手は積極的にトレーニングを行っています。選手の活躍を願っています」とコメントしている。

(注)1991年のソ連崩壊直後、国際オリンピック委員会(IOC)はバルト3国以外の各共和国のみならず、ジョージアの含まれていないCISも承認せず、旧ソ連統一チームとして「EUN」(フランス語の「Équipe Unifiee」に由来)を認め、オリンピックに出場させた。その後、12の共和国の加盟を認め、EUNは1992年のアルベールビル冬季オリンピックとバルセロナ夏季オリンピックのみの参加で消滅した。

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